腰痛は“見える腰痛”と“見えない腰痛”の二つに大別できます。
“見える腰痛”とはレントゲンやMRIなどの画像診断により骨の異常などが認められる腰痛(特異的腰痛)を指し、“見えない腰痛”とは画像診断で判別できない腰痛(非特異的腰痛)の事です。
病院を訪れる腰痛患者の8割以上がここに分類されます。
たいていははっきりとした治療法はとくに示されないまま痛み止めや湿布を渡されるだけで診察が終わってしまいます。
つまり「腰痛の85%以上は原因不明」とは、この“見えない腰痛”を指しているのです。
「原因不明」なら「どうしようもないんだ」とあきらめてしまいそうですが、単にレントゲンの画像に異常が見当たらないだけ。
逆を言えばレントゲンに写らない組織に何らかの問題があるのです。
我々徒手療法家に治せる可能性があり、ある意味、我々にしか治せない腰痛はこの見えない腰痛(非特異的腰痛)なのです。
“見えない腰痛”を生み出す3つの震源地
腰痛は人によって痛みの感じ方が異なります。
ある人は突然、ハンマーで叩かれたような激しい痛みに襲われる人もいれば、じわじわ重い痛みが断続する人もいます。
ほかにも生理になると腰回りが全体的に重く痛むなど、痛みの様相は様々ですが、これらもすべて物理的な刺激と炎症による刺激の2つに大別できます。
では、そもそもどうして痛み方が違うのかというと、腰痛の震源地は複数存在しているからなのです。
それがこの3つの部位、①椎間板、②椎間関節、③仙腸関節です。
ほとんどの腰痛はこの3か所から生み出され、どこから始まるかによって痛み方もかわってきます。
筋・筋膜性腰痛
ー3つの震源地が最終的にこの痛みを導くー
椎間板、椎間関節、仙腸関節由来の痛みにより発生した腰痛は、脳に痛みを伝え続けた結果、新たな腰痛を引き起こします。
それが筋・筋膜性腰痛です。
その特徴は深部筋(特に多裂筋、腰方形筋)がまるで“錆びついた”ように硬くなり、機能不全に陥ることです。
姿勢変化に伴う痛みだけでなく、同一姿勢を短時間保持しているだけで腰部に嫌な鈍痛が生じるようになります。
また、片側の腰部筋の筋緊張が亢進するため骨盤が片側だけ引きあがってしまい、姿勢が歪んでいきます。
この骨盤の高さ異常を改善しないまま放置してしまうと、関節に力学的な不均衡が発生し続け、腰痛はさらに悪化していきます。
下の動画(1分7秒)は筋・筋膜性腰痛により骨盤の高さ異常が生じている典型例です。