【更新履歴】2020年3月28日:最新の臨床を基に情報を更新しました。
「膝痛と言えば軟骨が原因」と考えている方。
膝痛には関節の中で起こる痛みだけでなく、関節の外で起こる関節外痛があるのをご存知ですか?
膝は『関節内』と『関節外』の2つの構造に分かれています。
そして関節の中で起こる『関節内痛』と関節の外で起こる『関節外痛』の2種類あるんです。
『関節内痛』は擦り減った軟骨により関節内が炎症して起こる関節の内側の痛み。
ヒアルロン酸注射は関節内の炎症を抑える働きがあるため、ある程度有効です。
『関節外痛』は関節の外側の組織(筋肉・靱帯など)へのダメージが原因で起こる関節の外側の痛み。
関節外痛にヒアルロン酸注射を打っても意味がありません。
というのもヒアルロン酸注射は関節内の状態を良くするための治療だからです。
関節外痛には筋肉を柔らかくする治療(硬結メルト治療)が有効です。
ここまで読んで、膝痛で悩んでいる方は、『私は関節内痛かしら・・』と思う方が多いでしょうか?
整形外科では多くの方が『軟骨が擦り減っているから痛いんだ』と説明されるので関節内を想像される方が多いと思います。
整形外科のお医者さんは関節内痛を注目しているので、レントゲンを撮り、関節内の軟骨の状態を診たり、ヒアルロン酸注射を打って痛みを取ろうとするのです。
でも、
レントゲン⇒軟骨擦り減ってる⇒老化だから仕方がないと言われるor手術をすすめられる
ヒアルロン酸注射⇒効かない⇒注射を打ち続ける⇒効かないor膝痛が悪化した
というケースをよく耳にします。
なぜなのでしょうか?
整形外科では関節内痛の治療をして、関節外痛は治療されない場合がほとんどなのです。
“手術が必要”と言われた高齢者のケースでも痛みがとれた【78歳】
この方はお若い頃、世界中の山を登っていた登山家です。
1年のうち数か月は現地の海外で生活し、山登り中心の生活をしていました。
登山家ですので足腰には自信があったのですが数年前から膝の痛みが出現し歩けなくなってしまいました。
整形外科を受診したところ「手術しかない」と言われましたが、本人はそれを拒否。
ヒアルロン酸注射治療を続けていましたが、一向に改善せず当院を受診されました。
膝の変形は酷く(ステージ4【骨痛期】レベル)、膝を曲げる度にゴリゴリと音を立てます。
本人はもちろん、医者もこれは骨同士がぶつかって鳴る音だと考えていましたが、実際は違います。
その証拠に私が治療したところ、曲げる度になっていたゴリゴリという音がしなくなったのです。
現在、この方は日常生活では膝痛を感じなくなるまでに回復し、先日は福島県まで有名な桜を見に念願のバス旅行へ行くことが出来ました。
本人は「手術しなくて本当に良かった」と仰っています。
“加齢によるものだから仕方がない”と言われたけど諦めなくて良かった【67歳】
この方は25年前から膝が痛み出し、現在は階段下りでの膝痛が主訴です。
病院では軟骨が擦り減っていると説明され、ヒアルロン酸注射治療を受け続けていましたが症状は悪化。
お医者さんは「加齢によるものだから仕方がない」とおっしゃっていたそうです。
痛みを訴えている部位(お皿の周囲)を触診すると米粒大の筋硬結を触知できます。
まさにこの場所へ何度も注射を打っていたそうです。
この方は8回の治療で、米粒大の筋硬結はほぼなくなり、現在は通っているスポーツクラブでエアロビクスなどのプログラムにも楽しく参加できています。
この2人の患者様は『関節内痛』の治療では痛みがとれず、『関節外痛』の治療をして膝痛を克服されたのです。
膝痛の治療をしているけど、なかなかいい結果が出ていないという方は、『関節内』と『関節外』があることを知って、何か治療のヒントになれば幸いです。
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https://itohiya.com/wp/column/3520/
監修:糸日谷哲章(イトヒヤ テッショウ)
理学療法士/柔道整復師/シンインテグレーション認定施術者/保健医療学修士
運動学的観点から痛みの発生原因を追求し、難治性疼痛治療を行う
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