前屈動作は腰椎屈曲と股関節屈曲の複合動作ですが、その動作手順には、腰椎―骨盤リズムと呼ばれる決まった法則があります。
このリズムが崩れると、腰に過剰な負荷がかかり、ぎっくり腰の発生リスクを著しく高めるのです。
正常な腰椎-骨盤リズムでは、まず腰椎の屈曲が生じ、次いで股関節の屈曲が生じますが、ぎっくり腰パターンではこれが逆転します。
個々の機能的単位は、約8~10°屈曲し、腰椎には5個の機能的単位が存在しますので、全体で40~45°曲がります。
したがって腰椎は重心線より約45°前方まで屈曲します。
腰椎が45°屈曲すると、筋は限界まで伸びた状態になり、筋膜はそれ以上伸びません。
ここで腰椎は最大限に屈曲していることになります。
腰椎がしっかりと屈曲位をとった状態でお辞儀すれば、筋や靱帯がしっかりと働くため腰への負担は最小となります。
ぎっくり腰になる『腰椎―骨盤リズム』
ぎっくり腰パターンのお辞儀では、腰椎が伸展位もしくは屈曲が不十分な状態で股関節の屈曲が生じます。
腰椎が伸展位のままお辞儀をすると、筋や靱帯が緩んだままとなるので、筋肉のみでお辞儀の負担を支えなければならなくなります。
この時、瞬間的にでも腰部筋の限界を超えるとギクッと損傷してしまうのです。
ですから、腰に負担のかからない理想的なお辞儀の仕方は、初動作が腰椎屈曲(骨盤後傾)から始まり、次いで股関節の屈曲へと続く動きとなります。
■腰を痛めないお辞儀のポイント
お辞儀⇌復位ともに、腰を痛めないためには、
- ①腰椎の運動は直立位から屈曲45度までの範囲のみで行われる。
②腰椎屈曲45°以上の領域では腰椎が最大屈曲位で固定された状態(すなわち体幹が固まった状態)で股関節運動が生じる。
この2点です。
特に一度でもヘルニアやぎっくり腰を経験している人は、このポイントを十分理解して動くことが腰痛根治のカギとなります。