■脊柱管狭窄症により右脛が痛くて歩けなくなり、知り合いの医師から「手術しかない」と診断された現役医師の例
この方は90歳(男性)で、若い頃から心臓外科領域の第一線で活躍され、本も執筆されている医師です。
ある時から歩くと右の足脛に痛みが出てきて、時には寝ていても姿勢によって激しい痛みを感じるようになり、知り合いの整形外科を受診して、MRI検査を受けたところ4番5番の右椎間孔が狭窄していると言われたそうです。
足に行く神経の通り道が狭くなって、腰骨が神経を圧迫していると。
そこで、医師からは「根治には手術が必要」と告げられたのですが、90歳という年齢を考慮し、手術しないでしばらく薬で経過を見ようということに…。
しかしその薬が合わないのか吐き気やめまいも出てしまい、吐き気覚悟で薬を飲んでも歩行中の痛みは消えず、右ふくらはぎの外側にかなり強い痛みが続いていました。
そんな時、病院スタッフの一人が私の治療院を知っていて「先生、私の母は膝が痛くて困ってたんだけど、いとひや整骨院に行ってとても良くなったから、だまされたと思って行ってみましょうよ」と半ば強引にその医師を連れてきたのです。
本人はお医者さんだから「4番5番の骨が狭いなら、手術で骨を削り、神経の圧迫を取らなければ痛みは取れないはずだ」という理屈を知っていたので「そんな手でやる治療で、足の痛みが取れるわけない」と、最初、うちに来るのは全然乗り気じゃなかったそうです。
しかし初診で私が痛みの原因を調べてみたところ、お医者さんは狭窄した腰骨が原因で痛みが出ているという見立てでしたが、私は今回の足の痛みに脊柱管狭窄症は関係なく、これは徒手療法で治せるはずだと思ったのです。
ちなみに私は治療前に必ず『再現痛検査』というのを行い、私の治療で効果が出せそうかどうかのアタリをつけてから治療します。
具体的には患者さんに「今、この場で痛みの出る動きをして下さい。」とお願いし、目の前で痛みの出る動作を行ってもらうのです。
例えばこの方は、数歩歩いても痛みがでるとのことだったので、実際にその場で院内を歩いてもらい、どこに痛みがでるのかをきちんと確認し、治療後、もう一度同じ距離を歩いてもらって痛みが消えたかどうかを確認するのです。
こういう治療前後の変化を確認することで、もしまだ痛みが変わらずに出るなら、私の治療が空ぶってるのが分かるし、痛みが減ったり、消えたりしたら今の治療が上手くいったのが分かる。
私はこういうスタイルで臨床に臨んでいるのですが、この方は幸い、1回の治療後には、もうその場で痛みなく歩けるようになっていました。
この医師のケース…、知り合いの整形外科医が利害無く、先生の身体を調べた結果、原因は脊柱管狭窄症による痛みだとの診断を下したわけですが、もしこれが正しければ、骨の狭窄が治らない限り、痛みは消えないはずです。
にもかかわらず、徒手治療後、その場で痛みは消えてしまった…。脊柱管の狭窄は治っているはずがない、骨・関節内の状態は全く変わっていないのに、足の痛みは消えてしまったのです。
- 関節手術不要論⑧へ続く
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