2ヵ月前に歩いていて急に股関節が外れるような感じがして、それから歩くたびに股関節がポキポキ鳴るんです
痛みはありません。ただ将来痛くなるんじゃないかって不安で…
「股関節が鳴る」という訴えは臨床で割と多く出会いますが、ほとんどの場合が問題ありません。
もし音が鳴るたびに痛みがある場合は、何かが損傷している可能性が考えられなくもないですが、まずそういう事はありません。
ちなみにこの方は私のちょっとしたアドバイスで歩いても股関節が鳴らなくなりました。
実際の動画(1分間)をご覧ください。
いかがでしたか?
同じように歩いているように見えると思いますが、実は鳴る時と鳴らない時では足尖の向きが異なるんです。
どうして股関節が鳴らなくなるのか順を追って解説していきましょう。
■弾発股とは?
股関節を動かすと「ポキッ、ポキッ」という引っかかる感じの弾発現象がみられるのが弾発股の特徴です。
関節内に問題がある場合は稀で、ほとんどが関節の外側の筋肉と骨が擦れて起こる股関節外の病変をいい、専門的には関節外弾発股と呼びます。
また関節外弾発股でポキポキ音がなる原因は、股関節の大転子(外側の出っ張り)と腸脛靱帯(大腿筋膜張筋)とが股関節の動きによって擦れて生じる音です(内側型弾発股もありますが外側型の方が多いです)。
「股関節が脱臼したんじゃないか?」と心配される方も多くいらっしゃいますが、弾発股で股関節が脱臼していることは無く、さらに痛みが無い限り有害でもありません。
また「ポキポキ鳴らしていれば、その内柔らかくなって音が鳴らなくなるのでは?」と自分で鳴らす人がいますが、そういう事はまずありません。
■股関節が過前捻している人が鳴りやすい
股関節はもともと解剖学的に前捻していて、この角度を前捻角と言います。前捻角には個人差があり、調べてみると過渡に前捻している人(B)が結構存在します(女性に多い気がします)。
この動画の患者様にクレイグテストを行い前捻角を調べたところ、過渡の前捻角でした。
お話を伺うと、この方、子供の頃に内股で、それを親に注意され、ある時期から強制的に自分で足の向き(足尖)を図Bのように真直ぐにして歩くようにしていたというエピソードがあります。
確かにBは足先だけ見れば真直ぐに見えるのですが、股関節の位置をAとBで見比べると、Bは股関節が受け皿から外れてしまいそうですよね?
股関節の外側に大転子という骨の出っ張りがあるのですが、足位を無理に矯正したため、股関節的には過剰な外旋位を取っていることになり、その位置で歩行すると腸脛靭帯が擦れる位置になってしまっています。
※文章だと難しい…って人は、下のYouTube動画でも分かり易く解説してます^^)。
いずれにせよ私は、「子供の頃していたように、股関節的に正常なもともとの足位(内股)にもどして歩いてみて下さい」とアドバイスしたところ、ポキポキした音は鳴らなくなりました。
しかし股関節の音は鳴らなくなっても、内股で歩き続けた場合、近い将来、必ず膝が変形してきて、膝痛が出てくるはずです。
股関節がポキポキ鳴っても基本的には無害ですが、膝関節の変形は痛みにつながるので、私はこの方に「股関節の音より、膝が悪くならない足位を考え調整していきましょう」とお話ししました。
患者様は股関節が鳴る原因が解明し、また問題が無い事を知り安心して帰られ、その後はご自分で足位を臨機応変調整して歩くようになり、音は鳴らなくなったそうです(もちろん痛みもありません)。
ちなみに歩行における足位は、足尖ではなく膝の向きを基軸に考えていくと上手くいきますよ。いくら足尖が真っ直ぐ前を向いていても、膝のお皿が内向きではダメですもんね。
膝のお皿が真っ直ぐ前かやや外向きになって歩くことが、膝にも股関節にも一番良い歩き方なのです。
30分動画で詳しく学ぶ
弾発股の治し方について