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『夜間痛がつらい…』四十肩炎症期の過ごし方【注意点・鉄則】
2018.10.10
こんなに医療が日々進化しているのに、四十肩の発生原因やメカニズムはいまだに解明されていません。
実体がよく分かっていない四十肩をお医者さんがどうやって診断しているのかというと、患者さんの年齢、性別、訴えなどを聞いてアタリをつけて『四十肩』と診断しています。
特に明確な診断基準があるわけでも、レントゲンやMRI画像に異常がみられるわけでもないんです。
もし画像上に異常があれば、それは四十肩とは言わず、腱板断裂や石灰沈着性腱板炎といった別の診断名がつきます。
“画像上は正常だけど、40~50代になって理由なく肩が痛い”なんて条件が揃うと「はい、四十肩です」となるわけです。
でも困ったことに四十肩を治せる薬はありません。
原因が不明である以上、薬や根治療法が存在しないので、病院でできる処置といえば一時的に痛みを誤魔化す消炎鎮痛・筋弛緩目的の注射とロキソニン(痛み止め)。
つまり対処療法しかできないので整形外科病院では治せないんです。
では四十肩を治すには何もせず、ただひたすら自然回復するのを待つしかないのでしょうか?
いいえ、そんな事はありません。
四十肩を治すために、やるべき事や注意すべき事があります。四十肩の3つの病期を知って、その時期に応じたアプローチを行うことが大切なのです。
正しいアプローチを行うことで悪化を防ぎ、自然回復を早めることができます。
もし肩を動かしてはいけない時期に動かしたり、動かさなければならない時期に動かさないと、治せる四十肩をこじらせ、別の嫌な病態(腱板断裂やRSD etc…)に移行してしまうことがあるんです。
目次
四十肩には3つの病期があります
四十肩には炎症期、凍結期、解凍期という3つの病期が存在し、各々の時期で治療方針や注意すべき事が異なります。
1.炎症期:2~9ヵ月間続く
症状が発現してから痛みがどんどん増悪していく時期です。痛みで夜中、目覚めてしまう『夜間痛』が出現します。
重症例では患部を下にして眠ることができず、患者様が一番困る時期です。
この時期に肩を無理に動かしてはいけません。炎症が治まらず症状の悪化を招きます。
炎症期の治療の主体は対処療法である『消炎鎮痛・筋弛緩の注射』と『局所の安静』です。
ちなみに注射の有効性は疼痛、特に夜間痛の軽減に限られ、四十肩自体を治すものではありません。ですので漠然と頻回に用いることはお勧めできません(どうしても痛みが我慢できない時にだけ打ってもらうのが良いでしょう:⇒関節注射が引き起こす問題について)。
夜間痛対策としては寝る時に、フェイスタオルをたたんで寝巻きの中に入れ肩が冷えないようにします。
なぜか「下着を重ねて着るよりも、タオルを入れるのが一番効く」とおっしゃる患者様が多いです(きっとタオルの方が空気の層ができて保温力が高いからだと思います)。
あと枕を患部側の肘下に入れて寝ることも大切です。
寝返って患部が下になると痛みで目覚めてしまいますよね。それを防止するために枕を肘下に入れるんです。
こうすると寝返りしづらくなり、かつ肩が安楽肢位(レストポジション)となります。
寝方を工夫しだすと「朝まで目が覚めず眠れた」と患者様の訴えに変化が起きます。
眠れるようになってはじめて炎症期が終息に向かい、次は肩が固まる凍結期が始ります。
炎症期をいち早く離脱するためのポイントは『徹底的に肩を冷やさない!動かさない!』です
身体を温め、肩への血流を上げるために積極的な入浴も大切。しっかり肩まで湯船につかり、たっぷり肩を温めて下さい。
また日中も肩を冷やさないためのサポータや簡易カイロを使用すると良いですよ。
また肩をできるだけ動かさないことも大切。
炎症期に肩を動かすと炎症がいつまでも治まらないので、本当は三角巾などで肩を完全に不動固定したいくらいです。
でも、それが無理ならせめて、できるだけ患部を使わないよう患部側は常にポケットに手を入れて過ごしたり、荷物は決してもたないよう注意して過ごすと良いですよ。
それでも改善がみられない重症ケースでは市販の肩脱臼用サポータを身につけてもらい、日常生活で完全に腕を使わないようにします。
炎症期の注意点・鉄則
炎症期があまりにも長く続くケース(半年~1年間など)の場合、患者様は「動かさないと肩が固まるのではないか?」という不安から痛みをおして動かしてしまう方がいらっしゃいますが、これは明らかに間違いです。
四十肩は次に続く拘縮期で一旦必ず固まります。
固まってから治るのが四十肩の避けられない特徴なので、固まることを恐れる必要はないのです。
例えば怪我して傷ができたとして、治る過程で瘡蓋(かさぶた)ができますよね?
瘡蓋が固まってから傷が治るように、四十肩も一旦固まってから治るんです。固まらずに治る四十肩は決してありません。
だから治療者はむしろ早く固まって欲しいと思っているのですよ。
もし固まるのを恐れ、中途半端に動かしているといつまでたっても辛い炎症期を離脱できません。
炎症期は『徹底的に冷やさない!動かさない!』が鉄則です。
ただ、どうしても固まるのが恐い、動かしたいという不安を訴える患者様の場合は、ケース(症状の軽さ)によっては痛くない範囲で動かすのならばギリギリOKです(本来は動かさないない方が良いと思いますが…)。
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