この方法は『ゴッドハンド輝』というマンガで紹介された方法のようですが、それが世に広まってしまったようです。
この腋窩神経へのアプローチが寝違えに効果がないのには、解剖学的な理由があります。
皆さんが寝違えて痛めるのは首から肩にかけてですよね。
でも腋窩神経が支配する筋肉は肩の筋肉(三角筋と小円筋)であり、そもそも首には関係ないのです。ですから仮にストレッチ等で腋窩神経の圧迫が解放されても首の症状が消えるわけがありません。
では寝違えの真の原因は何なのでしょう?
■寝違えの法則:私が寝違える時に必ず共通する“ある一つのパターン”とは?
思い返してみると、私が寝違えるとき、いつも共通する寝方がある事に気が付きました。
それは『枕なしのうつ伏せ寝』です。枕を外し、直接ベッドのシーツにどちらかの頬を付け寝ていると“ギクッ”と痛めるのです。
なぜうつ伏せの時に寝違えやすいのでしょうか?
人間が顔を横に向ける動き(頚椎の回旋)の正常可動域は片側60°位とされています。つまり首の動きだけでは人は真横を向けません(実際にやってみて下さい。真横を向くには肩や腰の動きが必要なはずです)。
ですから、枕なしのうつ伏せをとると首は正常可動域の60°を越えて真横を向かなければならなくなり、首回りの筋肉が過剰に伸張されます。
ここで過剰に伸ばされた筋肉は、伸ばされすぎて引きちぎれないようにするために反射的に収縮します(これを生理学用語で伸長反射と言い、身体を守るために必要不可欠な防衛反応です)。
筋肉が収縮しても首が元の位置に戻れるならば痛めないのですが、うつ伏せで首の動きが取れなくなっているので、反射的に筋肉に力が入ってしまうと過剰な力が首の筋肉にかかり痛めるのです(足がつる、こむら返りと似ていますね)。
これが寝違えの起こる真のメカニズムです。
■実は一方で欧米人の多くがうつ伏せで寝ていますが、日本人とは枕の使い方が違うようです
日本人は布団文化の影響で仰向けに寝る人が多く、枕は頭の下に入れて使う物と考えていますよね?一方、欧米人は枕を胸の下に入れる物と捉える人が多いようです。
よくホテルのベッドにはたくさんの大きな枕が準備されていますよね。あれは頭用だけでなく、うつ伏せで寝ることが多い欧米人が胸の下に入れて使うためのもの。